
京都東山の静かな一角に佇むPOUYUENJI KYOTOで、台湾の現代アーティストYU CHUAN(ユーチュエン)氏による個展「不審花開(ふしんはなひらく)」が2025年11月13日から30日まで開催されます。茶と禅、そして現代アートが交差するこの展示は、私たちにお茶を楽しむ新たな視点を与えてくれる貴重な機会となりそうです。
目次
「不審花開」花が咲く理由を問わない禅の教え
「不審花開」という言葉をご存知でしょうか。
これは禅の詩に登場する言葉で、「花がなぜ咲くのかを問いたださず、そのときを急かすこともせず、ただ季節と花自身の呼吸が重なった瞬間に静かに花開く」という意味を持ちます。
この思想は、お茶の世界における「一期一会」の精神と深く響き合います。茶室に活けられた一輪の茶花も、その瞬間、その場所でしか出会えない存在です。
花を活ける側も、それを愛でる客も、その出会いの尊さを知っています。
理由や理屈ではなく、自然のままに存在するものの美しさ。それこそが、茶道が大切にしてきた美意識なのです。
YU CHUAN氏が描く「余白」と「呼吸」の世界

台湾を拠点に活動するYU CHUAN(堉泉/ユーチュエン)氏は、光と呼吸、そして余白を大切にした作品で知られる現代アーティストです。今回の展示では、「不審花開」のテーマに合わせて描き下ろされた新作の花のシリーズが展開されます。
彼の作品は、まるで茶席で客を迎える一輪の茶花のように、その場、その瞬間にしか生まれない出会いをもたらすと言われています。線が空間の中で花びらのようにひらいていく様子は、お茶を点てる所作にも似た静謐な美しさを持っています。
日本での個展は3年ぶり2度目となる今回、POUYUENJI KYOTOとしては初めて作家を招いての展示販売会となり、京都の茶文化とアートが出会う特別な機会となっています。
ライブペインティングで体感する「花開く瞬間」
11月14日(金)の14時から15時には、YU CHUAN氏によるライブペインティングが実施されます。描かれる線が、まるで花びらのように空間の中でひらいていく瞬間を、目の前で体感できる貴重な機会です。
テーマは二十四節気。日本の茶道でも季節の移ろいを大切にするように、YU CHUAN氏の作品も自然のリズムと呼応しています。お茶を楽しむ私たちにとって、季節感は切り離せない要素です。立冬を過ぎたこの時期、どのような作品が生まれるのか、その創造の過程を見守ることができます。
ライブペインティングは無料で観覧できますので、アート制作の現場に立ち会う感動を、ぜひ多くの方に体験していただきたいと思います。
茶とアートの響き合い、特別ペアリングメニュー
展示期間中、POUYUENJI KYOTOでは展示と響き合う特別メニューを数量限定で提供します。京都で活動する「御菓子丸」による、この時期だけの菓子と茶のペアリングコースです。
お茶と和菓子のペアリングは、茶道における「主菓子と薄茶」の組み合わせの現代的な解釈とも言えます。季節の移ろいを表現する和菓子の繊細さと、お茶の持つ奥深い味わい。そこにYU CHUAN氏のアート作品が加わることで、視覚、味覚、嗅覚が一体となった体験が生まれます。
茶室における総合芸術としての茶道の精神が、現代的な形で表現されたこの特別メニューは、お茶愛好家の方々にとって見逃せない内容となっています。
POUYUENJI KYOTOという空間の魅力

会場となるPOUYUENJI KYOTOは、京都市東山区八坂通に位置する茶の空間です。伝統的な京都の風情を残しながらも、現代的な感性を取り入れた空間設計は、まさに今回の展示テーマにふさわしい場所と言えるでしょう。
静かに広がる茶の香り、絵の色、空間の温度。そのすべてが、ゆるやかに共鳴するひととき。お茶を楽しむということは、単に飲み物を味わうだけではなく、空間全体を五感で感じ取る体験です。この展示では、アートという新たな要素が加わることで、より立体的な茶体験が可能になります。
限定ギフトボックスで「不審花開」を持ち帰る

会期中は、展示にちなんだ限定ギフトボックスも数量限定で販売されます。YU CHUAN氏のアート作品の世界観と、POUYUENJI KYOTOのお茶が融合した特別なギフトは、自分へのご褒美としてはもちろん、お茶好きな方への贈り物としても最適です。
茶道では「形見の茶」という言葉があります。一期一会の出会いを記憶に留めるために、その席で使われた道具や茶を持ち帰る習慣です。今回の限定ギフトボックスも、この展示との出会いを形に残す「現代の形見の茶」と言えるかもしれません。
こんな方におすすめ
- お茶と芸術の融合に興味がある方
茶道の精神性とアートがどのように響き合うのかを体験できます。 - 禅の思想や日本文化に関心がある方
「不審花開」という禅の言葉を、視覚的・感覚的に理解できる機会です。 - 台湾茶に興味がある方
台湾出身のアーティストによる展示で、台湾と日本の茶文化の共通点を発見できます。 - 季節感を大切にしたい方
二十四節気をテーマにした作品から、季節の移ろいを感じ取れます。 - 京都の新しい文化スポットを探している方
東山エリアの隠れた名所で、特別な時間を過ごせます。
茶とアートが紡ぐ、新しい物語
お茶を楽しむということは、単なる嗜好品の消費ではありません。それは一つの文化体験であり、自分自身と向き合う時間でもあります。今回の「不審花開」展は、私たちにお茶を楽しむ新たな視点を提供してくれます。
花が咲く理由を問わず、ただその美しさを愛でる心。一期一会の出会いを大切にする精神。これらは、日々の忙しさの中で忘れがちな、とても大切なものです。
京都の静かな空間で、YU CHUAN氏のアートと向き合い、丁寧に淹れられたお茶を味わい、季節の和菓子を楽しむ。その時間は、きっとあなたの心に新しい何かを咲かせてくれるはずです。
この秋、POUYUENJI KYOTOで、あなただけの「不審花開」を体験してみませんか。
開催概要
- 展示名:不審花開 FUSHIN HANA HIRAKU “Awakening blooms beyond thought”
- 会期:2025年11月13日(木)〜11月30日(日)
- ライブペインティング:11月14日(金)14:00~15:00(無料)
- 会場:POUYUENJI KYOTO(京都市東山区八坂通下河原東入八坂町374)
- 営業時間:10:00-18:00
- 定休日:月曜日・火曜日
- 予約:テーブルチェックより
- お問い合わせ:075-533-8826












