冬の竹富島で味わう命草と祭事の世界、「星のや竹富島」が提案する本物の島時間

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香り豊かなスパイスをチャイで味わう

沖縄といえば夏のイメージが強いですが、実は冬の竹富島にこそ、この島の本質が息づいています。2025年12月1日から2026年2月28日にかけて、星のや竹富島では冬の竹富島を存分に体験できる特別なイベントが開催されます。

柔らかな日差しと海から吹く南風「パイカジ」に包まれた冬の竹富島。この時期、島では旧暦に沿った祭事が執り行われ、島民たちは旬の食材を味わいながら、次の収穫期である春への準備を進めています。今回ご紹介する催しは、そんな島民の暮らしに倣い、竹富島の精神性に触れることができる貴重な体験です。

竹富島の冬を彩る「命草」とは

島の健康を支える薬草の力

竹富島の冬を語る上で欠かせないのが「命草(ぬちぐさ)」の存在です。命草とは、古くから島民の健康を支えてきた薬草の総称で、冬になると柔らかく香り高くなることで知られています。

中でも有名なのが長命草(ボタンボウフウ)です。「一株食すと一日長生きする」という言い伝えがあるほど、豊富な栄養素を含んでいます。ビタミンやミネラル、ポリフェノールが豊富で、現代でも健康食材として注目を集めています。また、フーチバー(ヨモギの一種)も命草として親しまれており、独特の香りと薬効成分が特徴です。

冬の竹富島では、これらの命草が最も美味しい旬を迎えます。温暖でありながらも時折訪れる寒さが、植物の糖度を高め、香りをより豊かにするのです。

神聖な祭事と伝統の味わい

「ナーキ祝い」で振る舞われる神聖なお神酒

ミシャクと泡盛組み合わせる竹富島独特のドリンク

竹富島では、旧暦11月に「ナーキ祝い(よい)」という祭事が執り行われます。これは、秋に蒔いた種が根付くことを祈る大切な儀式です。この祭事で神様に奉納されるのが、神聖なお神酒「ミシャク」です。

星のや竹富島では、このミシャクと沖縄を代表する蒸留酒「泡盛」を合わせた、竹富島独自のドリンクを体験できます。米から作られたミシャクのまろやかさと、泡盛の深い味わいが絶妙に調和し、驚くほど飲みやすい一杯に。島民のみぞ知る特別な楽しみ方を、夜のくつろぎの時間「宵のひととき」として味わえるのです。

この体験は、単なる飲酒を超えて、作物の豊穣を願う島の精神性に触れる時間となるでしょう。ゆんたくラウンジで、島の祈りと感謝の文化を感じながら過ごす時間は、竹富島でしか味わえない特別なものです。

二月祭と「ユヌク菓子」の物語

伝統菓子をアレンジした「ユヌク菓子」

旧暦2月には「二月祭」が行われます。これは、成長した麦に実が入ることを願う祭事で、島の農事サイクルにおいて重要な節目となっています。

この祭事に欠かせないのが「ユヌク」という伝統菓子です。ユヌクとは島の言葉で「麦を炒って挽いた粉」を意味し、はったい粉(焙煎した麦の粉)と黒糖で作られる素朴な味わいの菓子です。竹富島では、祭事の際に重箱の料理を分け合う習慣があり、その席にユヌクは欠かせません。

星のや竹富島では、この伝統的なユヌクムチをアレンジした「ユヌク菓子」を提供します。餅にあんこを添えた現代的な解釈は、伝統を守りながらも新しい魅力を加えた一品。午後のひとときに、島の文化や願い、感謝に込められたストーリーに触れることができます。

一棟貸切の客室で味わう「冬の島鍋」

旬の命草を贅沢に堪能

客室で楽しむ島鍋

冬の竹富島の魅力を最も直接的に味わえるのが、客室で楽しむ「冬の島鍋」です。伝統的な建築様式を踏襲した戸建ての客室という、プライベートな空間で、冬の竹富島ならではの豊かな食材をじっくりと堪能できます。

鍋には、柔らかく香り高い長命草やフーチバーをはじめとする様々な命草が使用されます。これに加えて、冬に旬を迎える車エビ、タコなどの海の幸も盛り込まれ、竹富島の恵みを一度に味わうことができる贅沢な内容です。

命草の持つ独特の香りと、海鮮の旨味が溶け合ったスープは、まさに竹富島の冬を象徴する味わい。体の芯から温まりながら、島民たちが大切に育んできた食文化を体感できます。

この島鍋は、単なる料理を超えて、島の自然の恵みと、それらを慈しみ大切に育む島の方々の暮らしを感じる時間となるでしょう。琉球赤瓦の客室で、心ゆくまでその世界に浸ることができます。

島の暮らしを体験する「冬の畑あそび」

ピーヤシ(島胡椒)の収穫とチャイ体験

ピーヤシ収穫の様子

竹富島の暮らしをより深く知るなら、「冬の畑あそび」への参加がおすすめです。冬に旬を迎える「ピーヤシ(島胡椒)」の収穫を通じて、島の農業と食文化に触れることができます。

ピーヤシは沖縄の在来種の胡椒で、独特の香りと爽やかな辛味が特徴です。冬の収穫期には香りがより豊かになり、島の食卓に欠かせないスパイスとして重宝されています。

収穫体験の後は、沖縄で古くから親しまれている「十時茶」の習慣に倣い、ひと休み。十時茶とは、午前10時ごろに菓子を持ち寄りお茶を楽しむ沖縄独特の文化です。ここでは、収穫したばかりのピーヤシを使った特製チャイを味わうことができます。

香り豊かなスパイスの効いたチャイは、冬の竹富島ならではの味わい。温かい飲み物を囲みながら、島の暮らしの温かさに触れる時間は、旅の忘れられない思い出となるはずです。

お茶好きにこそ体験してほしい竹富島の茶文化

香り豊かなスパイスをチャイで味わう

竹富島の茶文化は、本土のお茶文化とは異なる独自の発展を遂げてきました。十時茶に代表されるように、お茶は単なる飲み物ではなく、人々が集い語り合うコミュニケーションの場を作る大切な要素です。

今回ご紹介したピーヤシのチャイは、スパイスの効いた沖縄らしい味わいですが、そこには島の人々が大切にしてきた「ゆんたく(おしゃべり)」の精神が息づいています。お茶を通じて人とつながり、自然とつながり、文化とつながる―そんな体験ができるのが竹富島の魅力です。

また、命草を使った島鍋も、広い意味でのお茶文化として捉えることができます。薬草を日常的に取り入れる文化は、中国茶や日本茶における薬草茶の伝統とも通じるものがあります。

こんな方におすすめ

日本各地のお茶や薬草茶に興味があり、沖縄独自の茶文化や薬草文化を体験したい方には、命草や十時茶の体験が新たな発見をもたらすでしょう。季節の食材を大切にする日本の食文化に共感する方なら、旬の命草を使った島鍋は格別の体験となるはずです。

伝統的な祭事や地域の精神性に関心がある方にとって、ナーキ祝いや二月祭にまつわる体験は、竹富島の文化を深く理解する機会になります。また、混雑を避けて静かに過ごしたい方には、観光客の少ない冬の竹富島は理想的な環境です。

健康志向の方で、自然の恵みを取り入れた食生活に興味がある方にも、栄養豊富な命草の体験は価値あるものとなるでしょう。

訪れる前に知っておきたいこと

見晴台から望む集落景観

星のや竹富島は、竹富島の伝統を尊重し、「竹富島景観形成マニュアル」に従って建てられた唯一無二のリゾートです。約2万坪の敷地には、琉球赤瓦の客室が点在し、白砂の路地や見晴台など、沖縄の原風景が広がっています。

アクセスは、石垣港からフェリーで約10分の竹富港へ。港からは施設の送迎があります。冬の沖縄は温暖ですが、朝晩は冷え込むこともあるため、薄手の羽織ものを用意することをおすすめします。

各催しは予約が必要なものもあるため、事前に公式サイトで詳細を確認し、早めの予約を心がけましょう。特に冬の畑あそびは定員が2組4名と限られているため、人気が予想されます。

冬の竹富島から持ち帰るもの

この体験を通じて持ち帰るのは、お土産や写真だけではありません。島の人々が大切にしてきた自然への感謝、季節を慈しむ心、そして人々がつながり支え合う「ウツグミ(一致協力)」の精神。
そうした目に見えない豊かさこそが、最も価値ある贈り物となるでしょう。

冬の竹富島で過ごす時間は、現代の忙しい日常から離れ、本当に大切なものを見つめ直す機会を与えてくれます。命草の香り、ミシャクの味わい、畑の土の感触。五感すべてで感じる島時間は、きっとあなたの心に深く刻まれるはずです。

あなたも島時間を体験しませんか?

冬の竹富島に興味を持たれた方は、まず星のや竹富島の公式サイトをチェックしてみてください。
各催しの詳細情報や予約方法が掲載されています。

また、訪問前に竹富島の歴史や文化について調べておくと、体験がより深いものになります。島の祭事や伝統、命草についての知識を少し持っているだけで、見える世界が大きく変わるはずです。

冬こそ、本物の島時間へ。竹富島があなたを待っています。

  • 所在地:〒907-1101 沖縄県八重山郡竹富町竹富1955
  • 電話:050-3134-8091(星のや総合予約)
  • 客室数:48室・チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
  • 料金:1泊 147,000円~(1室あたり、税・サービス料込、食事別)※通常予約は2泊より
  • アクセス:石垣港よりフェリーで約10分 竹富港より送迎有

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